東三河のキラリ企業訪問「市川織布工場」(蒲郡市)
2013年08月19日
東三河県庁では、地域産業の現状を把握し、施策に生かすため、この地域の「キラリ」と光る企業を、永田副知事が定期的に訪問しています。
今回は、蒲郡市の「市川織布工場」に訪問した模様をお伝えします。
市川織布工場は、蒲郡市にある従業員7名の織物製造会社です。
カーテンやテーブルクロス、寝装品等のインテリア用品の生地や、婦人服・紳士服の生地などを、主に製造しています。

【製品の説明をする市川裕茂専務と、永田副知事】
■三河の繊維産業
元々、蒲郡市を中心とする東三河南部の地域は、繊維産業が盛んであり、「三河木綿」「三河縞(じま)」というブランド名で、全国に知れ渡っていました。
しかし近年、安い海外製品とのコスト競争などの影響で、かつて何百社もあった織物業者は減り、現在では100社に満たない程になってしまいました。
売上高の9割を受託製造が占める市川織布工場にもその影響は大きく、その状況を打開するべく、オリジナル製品の開発に取り組んでいました。
■伝統技法「絡み織り」
オリジナル製品の開発あたり、市川織布工場が着目したのは「絡み織り」の技法でした。
三河木綿でも使われる技法である絡み織りは、網のような粗い目でありながら、ほつれない強度を持っており、その通気性の良さを生かして、かつては夏物の着物の製造などに使われていました。しかし製法が複雑であるため製造者は減り、東三河地域では市川織布工場を残すのみとなっています。
■ichiori shade (イチオリシェード)の開発
その絡み織りの技法を生かし、開発したのが「ichiori shade (イチオリシェード)」というシェードスクリーン(日よけ用の布)です。
窓際で日光を遮る製品としては「よしず」などがありますが、マンションや洋風の住宅には合わないという問題がありました。「ichiori shade」はそのような建物に合わせやすいよう、グラデーションや中間色など、スタイリッシュなデザインの製品となっています。
また、絡み織りの特性を生かし、風や光を程よく通し、「自然との共生」をイメージさせる風合いに仕上がっています。
横縞を基調としたデザインも、その「自然との共生」を反映させたもので、「水平線や夕焼け空のグラデーションなど、自然界にある景色の多くは水平方向に広がっており、それをイメージしている。横縞は人に安らぎを与える。」と、自らデザインをされた市川裕茂専務は話しておられました。
平成23年度には、あいち産業振興機構の「あいち中小企業応援ファンド」に採択され、日本最大の生活雑貨とギフトの見本市である「東京ギフトショー」に出展し、来場したバイヤーから高い評価を得たそうです。
そして、今夏より本格的に販売開始。県内はもちろん、関東・関西のインテリア用品・生活雑貨店、インターネットモール、通販カタログなどで販売しています。

【ichiori shade(イチオリ シェード)。右は収納した様子】
■何十種類もの糸を使った5重織ガーゼケット
市川織布工場では、その優れた製造技術を生かし、これ以外にも特徴的な製品を作っています。
育児製品ブランドからの依頼で開発したのが、ふわふわな触感が特徴の5重織ガーゼケット。一般的なガーゼケットは、同じガーゼ生地を重ねて縫い合わせるだけの製法ですが、この製品は何十種類もの糸を使った異なる5層の生地でできており、更にそれらを一緒に織りこむことで、空気の層を作りだしています。

【5重織ガーゼケット(東三河県庁の副知事室前に展示しています)】
三河織物の長い歴史によって培われた技術を生かしながら、新しい感性で、オリジナル製品づくりに取り組む市川織布工場。
「従来の卸売業者経由の販売では、どうしても価格勝負になってしまう。この「ichiori shade」の販売を機に、小売店との直接の繋がりができた。今後は、『高くても質の良いものがほしい』というお客さんに、直接良いものを届けていきたい。」と語る市川専務。
これからも、三河織物製品の魅力を世に伝えていってほしいですね。

【製造工程見学の模様】
市川織布工場のホームページへ(外部リンク)
「ichiori shade」の製品ホームページへ(外部リンク)
今回は、蒲郡市の「市川織布工場」に訪問した模様をお伝えします。
市川織布工場は、蒲郡市にある従業員7名の織物製造会社です。
カーテンやテーブルクロス、寝装品等のインテリア用品の生地や、婦人服・紳士服の生地などを、主に製造しています。
【製品の説明をする市川裕茂専務と、永田副知事】
■三河の繊維産業
元々、蒲郡市を中心とする東三河南部の地域は、繊維産業が盛んであり、「三河木綿」「三河縞(じま)」というブランド名で、全国に知れ渡っていました。
しかし近年、安い海外製品とのコスト競争などの影響で、かつて何百社もあった織物業者は減り、現在では100社に満たない程になってしまいました。
売上高の9割を受託製造が占める市川織布工場にもその影響は大きく、その状況を打開するべく、オリジナル製品の開発に取り組んでいました。
■伝統技法「絡み織り」
オリジナル製品の開発あたり、市川織布工場が着目したのは「絡み織り」の技法でした。
三河木綿でも使われる技法である絡み織りは、網のような粗い目でありながら、ほつれない強度を持っており、その通気性の良さを生かして、かつては夏物の着物の製造などに使われていました。しかし製法が複雑であるため製造者は減り、東三河地域では市川織布工場を残すのみとなっています。
■ichiori shade (イチオリシェード)の開発
その絡み織りの技法を生かし、開発したのが「ichiori shade (イチオリシェード)」というシェードスクリーン(日よけ用の布)です。
窓際で日光を遮る製品としては「よしず」などがありますが、マンションや洋風の住宅には合わないという問題がありました。「ichiori shade」はそのような建物に合わせやすいよう、グラデーションや中間色など、スタイリッシュなデザインの製品となっています。
また、絡み織りの特性を生かし、風や光を程よく通し、「自然との共生」をイメージさせる風合いに仕上がっています。
横縞を基調としたデザインも、その「自然との共生」を反映させたもので、「水平線や夕焼け空のグラデーションなど、自然界にある景色の多くは水平方向に広がっており、それをイメージしている。横縞は人に安らぎを与える。」と、自らデザインをされた市川裕茂専務は話しておられました。
平成23年度には、あいち産業振興機構の「あいち中小企業応援ファンド」に採択され、日本最大の生活雑貨とギフトの見本市である「東京ギフトショー」に出展し、来場したバイヤーから高い評価を得たそうです。
そして、今夏より本格的に販売開始。県内はもちろん、関東・関西のインテリア用品・生活雑貨店、インターネットモール、通販カタログなどで販売しています。

【ichiori shade(イチオリ シェード)。右は収納した様子】
■何十種類もの糸を使った5重織ガーゼケット
市川織布工場では、その優れた製造技術を生かし、これ以外にも特徴的な製品を作っています。
育児製品ブランドからの依頼で開発したのが、ふわふわな触感が特徴の5重織ガーゼケット。一般的なガーゼケットは、同じガーゼ生地を重ねて縫い合わせるだけの製法ですが、この製品は何十種類もの糸を使った異なる5層の生地でできており、更にそれらを一緒に織りこむことで、空気の層を作りだしています。

【5重織ガーゼケット(東三河県庁の副知事室前に展示しています)】
三河織物の長い歴史によって培われた技術を生かしながら、新しい感性で、オリジナル製品づくりに取り組む市川織布工場。
「従来の卸売業者経由の販売では、どうしても価格勝負になってしまう。この「ichiori shade」の販売を機に、小売店との直接の繋がりができた。今後は、『高くても質の良いものがほしい』というお客さんに、直接良いものを届けていきたい。」と語る市川専務。
これからも、三河織物製品の魅力を世に伝えていってほしいですね。
【製造工程見学の模様】
市川織布工場のホームページへ(外部リンク)
「ichiori shade」の製品ホームページへ(外部リンク)