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東三河のキラリ人

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地域社会と若者をつなぐ架け橋になりたい NPOほの国プロジェクト代表 戸川拓馬さん 穂の国娘。統括リーダー ろみさん

豊橋市 その他

 東三河・穂の国で、地域を知り、地域を愛する「生き抜く力」を備えた若者を育成し、地域活性化を目的として活動する民間非営利団体『NPOほの国プロジェクト』を立ち上げた戸川拓馬さん、そして、東三河ご当地アイドル『穂の国娘。』の統括リーダーとして活躍するろみさんにお話を伺いました。

NPOほの国プロジェクトを始めたきっかけはなんですか。

【戸川】飲食業で若者世代の従業員を育てる立場として、当初行っていた指導に限界を感じ、若者とのコミュニケーションについて考え直す機会がありました。そこで、若者のモチベーションを上げるためにたどり着いたのは、アニメ、コスプレといった若者の「好き」に寄り添いながら、底上げしていくという新しいコミュニケーションの形でした。さらに、飲食店で働いている時だけでなく、お店を卒業した後も地域社会で必要とされる人になってほしいという思いから、若者の「好き」と、地域社会の熱い思いを持つ大人との接点を作ってあげたいと考え、「若者の育成」と「地域発信」という2つをキーワードとしてこのプロジェクトを立ち上げました。

ぐるめいど隊はどのように結成されたのでしょうか。

【戸川】ぐるめいど隊はメイド居酒屋のスタッフから始まりました。メイドさんになる子の中には、リアル社会でうまくいっていない子が多くいました。リーダーのろみもそのうちの1人だったのですが、せっかくこのお店で働くことになったからには、社会に出てからもまわりを笑顔にするような人になってほしいという思いで接していました。そんな時に、スタッフから「もっとたくさんの人の前で歌ったり、踊ったりしたい」という意見が出ました。そこで、地域の人達に認めてもらうためにはどうしたらいいかを考え、地域のことをもっと知って、多くの人に発信する役割を自分たちが担うことにしました。農業が盛んな東三河地域で、メイド姿で若者たちに食農を伝えるというコンセプトのもと、現在は、新城市の田んぼや畑で収穫したものを加工品にするなど、地域の方々と協力しながらご当地アイドルとしての活動を行っています。

ぐるめいど隊が農業をするきっかけとなったのはなんでしょうか。

【戸川】ぐるめいど隊は「グルメ」と「メイド」ということで「食農」がイメージしやすいのではないかというところから始まりました。ファーストシングル『はらへりんちょ~東三河を食い尽くせっ!!~』をはじめとして、豊橋市生まれで奇跡のお米と称される「女神のほほえみ」のPRソング『KiSEKi~銀色の輝き~』など、楽曲は地域の大人が若者に知ってもらいたいと思っている部分とリンクさせるような形で作っています。また、無農薬レモン「初恋レモン」を生産し、みかんの栽培でも有名な河合果樹園さんが行っている「みかんの木のオーナー制度」を通して、ぐるめいど隊のメンバー、そしてファンをも巻き込みながら山を守る活動を進めています。

「豊橋ぽぷかる歩行者天国 実行委員会」の実行委員長でもある戸川さんにとって「ぽぷかる」とはどのようなものでしょうか。

【戸川】「ぽぷかる」とは、ポップカルチャーのことを指します。近年、オタク、アイドルをはじめとした陰なイメージのある「サブカルチャー」にスポットライトがあたることが多くなってきました。海外の人々にまで「クールジャパン」が浸透するようになったいま、それが閉鎖的空間で行われる必要はなくなったと感じています。そこで、これまで「サブ」として扱われてきたものを大衆文化として、ネット社会とリアル社会のはざまのような1日を作りたいという思いで企画したのが「豊橋ぽぷかる歩行者天国」でした。ポップカルチャーに対して明るいイメージを持ってもらい、若者から一般の方まで、みんなが面白いと思えるきっかけにしたいと考えています。

お二人が感じる東三河の課題とはなんでしょうか。

【戸川】もっと連携を強めて、東三河全体で全国に打って出る必要があると感じています。自然豊かで農業が盛んであり、非常に住みやすい地域であるというのが東三河の特徴として挙げられますが、住民にとってはそれらが当たり前すぎてしまって、その良さに若者も気づいていないのではないでしょうか。この東三河で生きていくという考えが若者世代に浸透し、アニメやコスプレといった遊びからでもいいので、若者と地域社会が繋がりあって東三河全体で本当の意味での協力ができればいいなと思っています。

【ろみ】全国から見てまだまだ東三河の認知度は低いと感じることが多くあります。地域発信を目的としたステージやイベントでは、クイズ大会を開催するなど、ご当地アイドルとして東三河を知っていただく努力をしています。

今後、東三河を盛り上げるために挑戦したいことはありますか。

【戸川】穂の国娘。ぐるめいど隊、東三河をもっと知ってもらうために、大きなステージに立つ機会を増やしていく必要があると思っています。その一方で、ご当地アイドルという立場でやらせていただいている以上、地域に根付いた活動や農業は常に私たちの中心部分にあり続けなくてはなりません。皆さんにぐるめいど隊を知っていただくほど、そのバランスが難しいと感じることもありますが、地域に根付いた他にないアイドルの形を作っていこうと思っています。

【ろみ】東三河公認のアイドルになりたいと本気で思っています。活動を続けていく中で、応援してくださる方が多くなってきたという実感を持っています。活動趣旨としても、東三河のグルメを発信するというのが1番にあるので、それぞれの市町村に私たちを受け入れてもらい、『 穂の国娘。』のキャラクターがお土産に使ってもらえたり、市内電車のラッピングをできたりしたらいいなと思っています。


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今回の取材は、お二人の「若者と東三河地域を繋ぐ」ことに対する熱量に圧倒された時間となりました。
若者世代の代表として活躍されるろみさん、そして、若者が輝く地域社会を誰よりも願っている戸川さんの頭の中には、東三河の若者が結束し、全国に飛び立っていく確固たるイメージがあるのだと思います。
『 穂の国娘。ぐるめいど隊 』が東三河の若者を巻き込みながら、さらに飛躍されることを期待しています。



取材日: 平成29年8月29日
取材者: 南山大学 遠藤珠菜

※記載内容は取材当時のものです。

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