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東三河のキラリ人

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奥三河の豊かな自然や魅力を共有したい ‐Da MONDE‐

新城市 スポーツ部門

新城スポーツツーリズム推進実行委員会事務局 
山田辰徳さん
【新城スポーツツーリズム推進実行委員会】
奥三河の豊かな自然を活かしたアウトドアアクティビティーの普及促進を目的として活動しています。

 近年、人気の高まっているアウトドアスポーツ「トレイルランニング」。トレイルランニングとは、舗装されていない山などの自然の中を走るアウトドアスポーツです。今年春、奥三河地域で茶臼山から湯谷温泉までの63キロを走る「奥三河パワートレイル」が開催されたのは記憶に新しいところですが、この「奥三河パワートレイル」の開催に先駆けて、今年2月、新城市で新たなトレイルランニングレース『DA MONDE TRAIL 2015 Winter @ 愛知県民の森』が開催されました。

 今回は、「DA MONDE TRAIL(以下「ダモンデトレイル」)」の主催者である新城スポーツツーリズム推進実行委員会事務局の山田辰徳さんに、その活動についてお話を伺ってきました。

ダモンデトレイルの「ダモンデ」とは何ですか

【山田】 昨年10月に新城スポーツツーリズム推進実行委員会を地元の有志で立ち上げました。この活動を進めていく中で、活動のアイコンとして出来たのが「ダモンデ」という呼び方です。「だもんで」というと「~だから、~なので」といった意味で使われるこのあたりの方言ですが、「ダモンデ」自体には特に意味はないんですよ。響きが良くてピンと来たから付けただけです。

 新城には素晴らしいアウトドアスポーツのフィールドがたくさんあります。トレイルランニングやサイクリングをはじめ、カヌー、シャワークライミング(沢登り)、フリークライミングといった、専門性の高いスポーツのスポットも多くあります。

 新城にはそうした資源が多いのですが、人を集客できる施設が少なく、大規模なイベントを行うのが得意な地域ではないんです。この地域で外から人を呼び込むためには、小規模のグループや、個人を誘導するための小規模のイベントが必要ではないかと考えました。

 そんなとき、自分たちにできるイベントは何か、と考えたとき浮かんだのが、トレイルランニングの三時間耐久レースでした。

そこからダモンデトレイルの開催につながるわけですね。

【山田】 そうです。イベントを実施するにしても、運営ノウハウや組織力が十分とは言えないこともあり、一周約三キロの周回コースを、三時間で何周できるか競う耐久レースを開催することにしました。初心者の目線というのも大事にして、愛知県民の森を会場に、その遊歩道などを利用して、初心者や子供でも走ることが出来る平坦基調のコースを作りました。
 また、これからトレイルランニングを始めたい人、友達や家族となら一緒に出てもいいかな、という人が参加しやすいようにチームでの参加の枠を設け、途中で交代しながら走れるようにしました。普通のトレイルランニングやマラソンだとスタートから出て、戻ってくるのはゴールのとき。それでは、仲間や家族と一緒に楽しむのはなかなか難しいですが、周回の耐久レースなら、一周すれば戻ってくるので、応援するほうも応援しやすいですからね。自分のチームの選手が帰ってくるとみなさんとても盛り上がりますよ。

 それから、スタッフとして協力してくれる方々は地元の人が多く、そのほとんどがトレイルランニングなんて見たことがないという人です。トレイルランニングもそうですが、この新城で楽しめるスポーツは、競技をやらない人にとっては全然わからないものだと思うんです。それをよそから大勢の人が来て、勝手に地域の中に入って遊んでいったら、そうしたスポーツのことを知らない地元の人はあまりいい気持ちはしないですよね。
 でも、ダモンデトレイルをお手伝いしてくれたり、仲間に誘われて一度でも選手として参加してくれた人なら、トレイルランニングって何か分かるし、知らない人に説明することが出来るようになると思うんですよ。そうやって関わる人のすそ野を広げていくことも大事なことだと考えています。

今後、ダモンデとしてどんなことをしていきたいと考えていますか

【山田】 「ダモンデトレイル」の開催だけが「ダモンデ」の活動ではありません。トレイルランニングに限らず、この地域で楽しめるスポーツを通じて、都市部の人にこの地域に通年で足を運んでもらい、都市部と地域が常に交流していくようになることを目指しています。
 つい先日、「ダモンデ」として、他団体が主催するオフロード自転車のイベントの開催支援をさせていただきました。「ダモンデ」の関係者はもちろん、地元の方にも、オフロードの自転車競技を間近で見てもらうことが出来て、とても有意義でした。

 「ダモンデ」としては、アウトドアスポーツのイベントをやりたくてフィールドを探している外部の人と、この地域のフィールドをマッチングしていきたいと考えています。この地域の特性が活かせるアウトドアスポーツは専門性が高いものが多いので、地元の人材だけでは対応できませんから、どうしても専門性を持った人の力が必要になってきます。そうした人を外から呼んで、この新城のフィールドとつなげたいですね。この前の自転車イベントとの連携は、この第一歩です。

 将来、ダモンデトレイルが、アウトドアフェスのようなものになっていくといいな、って思っています。会場の一隅に、ちょっとしたワークショップがあったり、カフェのブースがあったり。そういう楽しいものがいろいろ集まってくる。それはスポーツでもアートでもグルメでもいい。A級でもB級でも。何でも。

 スポーツイベントって30代、40代のお父さんが出ることが多いと思うんですけど、イベントに出てる間って奥さんやお子さんは、ほったらかしだと思うんですよね。でも、家族で来て、みんなそれぞれに一日楽しめるイベントになったら、それってとってもいいことだと思うんです。

 それから、第二回ダモンデトレイルの後、実施したアンケートで、森林の整備に興味があると答えた人がけっこう多かったんです。これは、単純に自分がスポーツを楽しめればいい、というところに留まらず、自分たちが楽しむ場について関心がある人が多いということです。
 地域の人の高齢化で先祖代々の山林の管理が難しくなっているという話をよく耳にしますが、そうした山林をアウトドアスポーツを楽しみたい人に開放して、そこで楽しむ人が地域の人と協力して、地域の山林を保全していくことができるんじゃないかと思うんです。
 新東名の開通を控え、この地域は名古屋はもちろん、関東や関西から来やすい手軽な田舎になるのではと思います。「ダモンデ」の活動を通じて、都市と地域をつないで持続可能なアウトドアスポーツのフィールドの形を示したいですね。

 ダモンデトレイルは、自分たちの自主事業として今後も続けていきたいと思いますが、年二、三回出来ればいいと思っています。自分たちだけで「ダモンデ」の活動を大きくしていくつもりはありません。スタッフとして協力してくれる方々は、自分たちの考え方に共感してお手伝いしてくれます。そんな方々の負担にならないよう、ダモンデトレイルをこれ以上大きなイベントにはしたくないですね。

 「ダモンデ」は、自分たちの考えに共感してくれる仲間を増やしながら、自分たちで出来ることを身の丈に合った規模で、細く長く続けていきたいと思います。

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 三回目の開催となる次回のダモンデトレイルは、10月25日(日)愛知県民の森で開催されます。一人で一生懸命走ってもよし、友人や家族でチームを組んでワイワイ走るのもよし。みなさんもそれぞれの楽しみ方で三時間、新城のアウトドアフィールドを走ってみてはいかがでしょうか。

 山田さんの今後のご活躍をお祈りしています。

 ダモンデトレイルホームページ
 http://trail.damonde.jp/

出典
「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.28奥三河の豊かな自然や魅力を共有したい ‐Da MONDE‐
訪問日 平成27年8月17日
訪問者 東三河総局新城設楽振興事務所 山村振興課 鈴木、武藤、島田

※記載内容は取材当時のものです。

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