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東三河のキラリ人

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「箱の外の朝礼」株式会社ホウキン代表取締役 伊藤彰記さん

豊橋市 技術部門

 60年以上にわたり鋼材や鉄鋼の卸を行う株式会社ホウキン。
 伊藤社長が取り入れた「箱の外の朝礼」により会社の組織風土が劇的に変わった、と話題になっています。
 地元はもちろん、遠方からも見学者が訪れるという朝礼をはじめた経緯、そして組織風土改善のことなどを伊藤社長にうかがいました。

株式会社ホウキンはどんなことをしている会社なのですか。

 鉄工所や製作所など、鉄を消費して何かを製造している会社に、その材料を卸しています。鉄を販売していると聞くと、鉄工所をイメージする人もいるかもしれませんがそうではありません。簡単な加工を施してからお客様に届ける場合もありますが、基本的には、「素材」売りがメインの仕事です。昭和23年に私の祖父が創立し、2013年6月1日で65周年を迎え、私で四代目社長になります。

「箱の外の朝礼」を取り入れたのはどんなキッカケですか。

 7年ほど前、私が役員になった時に組織風土の改善をはじめました。当時、会社の組織風土はよくありませんでした。私も経営者となり、初めて組織について学ぶとともに、より良くしようといろんなアイデアを試しました。そんな時、アービンジャー・インスティチュートという会社が出している「自分の小さな箱から脱出する方法」と言う本と出会い、これが大きな転機となりました。その会社の日本の本部が福岡に拠点があり、そこでセミナーがあることを知り参加しました。
 アービンジャー・インスティチュートでは「箱=自己欺瞞」と考え、その箱を取り払うことで、職場、家族など周囲との関係性を良くしていくことを掲げています。
 私は、そのご縁で、「感謝の朝礼」を行う株式会社ココシスの岡部会長と出会い、「感謝の朝礼」と「箱」と言う概念をドッキングさせた「箱の外の朝礼」というものを始めました。

朝礼では具体的にどんなことをされていますか。

 弊社では毎朝8時から9時まで約1時間かけて朝礼をしています。実務があるため、全員が一同に揃ってではなく、出られる人だけ参加します。途中で朝礼から抜けたり、再び参加したりする社員がいることも、他社の朝礼に比べると珍しいと思います。
 最初に当番制で弊社のビジョンを読み上げ、それに対するコメントを話します。それから感謝の時間として、社員が感謝のスピーチをします。コンビニの店員さん、DVDなど自分が観た作品、家族のことなど、感謝の対象・内容は何でもいいんです。

みんながいろんなことを話すのですね。

 とてもフランクな雰囲気で、頑張らない朝礼とも言っています。大きな声でキビキビ行う朝礼とは真逆です。
 朝礼はどなたでも見学に来てもらうことができます。月に1回、所定の日に見学会があり、その日は私のミニセミナーと、社員による質疑応答の時間を朝礼と別で設けています。社員による質疑応答では、社長である私が抜けますので、社員に「実際、朝礼を取り入れているが社員の方はどう感じているの?」などの質問をしてもらっても構いません。もちろん、見学会の日以外でも、いつ誰に見学に来て頂いても構いません。朝礼を見て、いろんな会社さんに取り入れてもらえればいいと考えています。

朝礼の狙いは何ですか?

 会社の中に日常を取り入れることです。「会社は戦場だ」という考え方もあると思いますが、そのような状況で働く社員の多くは楽しそうじゃないのでは…と私は感じています。そして、そのような状況で働く社員は、互いが無関心となり、チームの連携がとりづらくないでしょうか。
 ほんとうに成果が得られるのか、という疑問を感じます。
 ですから私は、頑張らない朝礼という真逆のことを行うことで社員には家にいる時と同じような、リラックスした環境で仕事をして、そして最大限のパフォーマンスを発揮してほしいと考えているんです。

これからの目標などがあれば聞かせてください。

 自分たちが元気で楽しくいれば、良い影響が周囲に伝わります。まずは自分たちが良い状態であることが大切。それは会社で言えば、利益を出して、社会に貢献できる状態のことだと思います。
 フキゲンではなく、働きやすい「ゴキゲン」な会社であり続けて、周囲によい影響を与え続けることができ、三河で一番いい会社、「ありがとう」と言われる会社にしたいと考えています。


 とってもフランクに取材チームとも接して下さった伊藤彰記さん。株式会社ホウキンが実践している「箱の外の朝礼」は、興味があれば誰でも見学ができます。気になった方はぜひ足を運んで、その目と耳でユニークな朝礼をぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
 詳しくは公式ホームページ(http://www.houkin.com)をチェックしてください。

※記載内容は取材当時のものです。

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