東三河県庁ニュース

東三河のキラリ企業訪問「三信鉱工(株)」(東栄町)
2013/12/24

 東三河県庁では、地域産業の現状を把握し、施策に生かすため、この地域の「キラリ」と光る企業を、永田副知事が定期的に訪問しています。
 今回は、北設楽郡東栄町の「三信鉱工株式会社」に訪問した模様をお伝えします。
三信鉱工(株)は、「セリサイト」、日本語名で絹雲母と呼ばれる鉱物の採掘と精製を行っている会社です。
 
■化粧品(ファンデーション)用の原料として世界シェア5割
 
 「セリサイト」と聞くと馴染みがないかも知れませんが、化粧品のファンデーションや塗料の原料、プラスチックの強化材など、様々なものに使われている鉱物です。
 三信鉱工(株)のセリサイトは、ファンデーション用の原料として、世界シェア5割を誇っており、日本だけでなく、世界の一流化粧品メーカーで使われています。
 その第一の理由は、東栄町で採掘される「愛知産セリサイト」が世界的にも希少な純度の高さであることです。更に、この原鉱石を製品に精製する過程においても、三信鉱工(株)は世界最小である、5マイクロメートル以下の細かさに精製する独自技術を持っていることも大きな理由です。(1マイクロメートルは、1,000分の1メートル)


【三信鉱工で採掘される愛知産セリサイトの原鉱石】
 
■金鉱脈を夢見て
 
 そもそも、なぜこの東栄の地でセリサイトの採掘が始まったのか。その由来は、戦国時代にまでさかのぼります。東栄町の北隣にある津具地区には、戦国時代、武田信玄の支配下による金鉱があったそうです。
 現社長の祖父にあたる三信鉱工の創業者は、元々、飯田線や田口鉄道の開発に携わった鉄道マンでしたが、まだ利用の少なかった鉄道を活性化しようと考え、津具地区と同じ火山に連なる当地に目をつけ、開発を始めたのが始まりです。
 しかし、残念ながら金鉱脈は見つからなかったのですが、火山による特殊な地質から、珍しいセリサイトの鉱床が見つかり、事業化に成功したのです。
 現在、化粧品に使える高品質なセリサイトが採掘できるのは、日本でここだけというのですから、金鉱脈に匹敵する幸運だったのかもしれません。
 
■「あいちシンクロトロン光センター」を活用
 
 愛知県では今年3月、ナノレベルの分析が可能な先端計測分析施設「あいちシンクロトロン光センター」が、豊田市の「知の拠点あいち」にオープンしました。
 三信鉱工(株)もそれを活用いただいている企業の一つです。
 化粧品は直接肌に触れるものですから、その品質管理は近年ますます厳しくなっています。
例えば、ある不純物は、わずか微量でもセリサイト中に含まれる場合には、それを販売先に通知しなければいけません。しかし市販の分析装置では、求められる精度で分析できないことが課題でした。
 そこで、市販の装置よりも、波長が短く、ノイズの少ないX線を発生させられる「あいちシンクロトロン光センター」であれば分析が可能ということで、現在、その分析方法を確立すべく、研究開発を進めているところです。
 なお、この研究開発には、県の「新あいち創造研究開発補助金」を活用していただいています。
 
■坑道作りから、採掘、運搬まで、ほとんどを手作業で
 
 今回の訪問では、セリサイトを採掘する坑道の中も見せていただきました。
 坑道の中は大変狭く、大人の背丈ほどの広さです。ここは安山岩を中心とした非常に硬い岩脈を掘り進めるため、坑道を大きくすることが難しいからだそうです。坑道は途中いくつも枝分かれしており、その総距離は10キロ以上に及びます。


【狭く、いくつも枝分かれしている坑道の内部】
 
 坑道の先端では、穴を掘り進めるため、ダイナマイトを使っての発破作業の準備が進められていました。岩盤が硬いため、機械ではなくこのような方法を取るそうです。
 また、セリサイトの鉱床はとても小さいため、人ひとりが入れる狭い岩盤の隙間で、コツコツと手作業で堀り出しています。


【セリサイトの鉱床について説明する三崎社長(奥)】
 
 坑道の中にはトロッコ用のレールが敷かれています。採掘されたセリサイト原鉱石も、トロッコを手で押して運びます。
 坑道作りから、採掘、運搬まで、ほとんどを手作業で行っているということには驚きでした。


【原鉱石運搬用のトロッコと永田副知事】
 
 
 今回は、希少な地の恵みと、高度な精製技術を生かし、世界中の女性の「美」に貢献している企業、三信鉱工(株)をご紹介いたしました。

三信鉱工(株)のホームページへ(外部リンク)

あいちシンクロトロン光センターのホームページへ(外部リンク)



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必ず事前にご確認の上おでかけください。

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