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東三河のキラリ人

藍のまちを想う 工房「藍弘苑」 藍絞り染め作家 原田 弘子さん

Vol.003

藍のまちを想う 工房「藍弘苑」 藍絞り染め作家 原田 弘子さん

  • 芸術文化部門

原田さんは小柄で上品な方であり、その口調や話の内容からは目的意識の高さと自信が感じられました。
そして指先・爪には藍染に携わってこられた実績が残っていました。
地場産業への一筋の光を消すことなく灯し続ける想いを、ぜひ皆さんもご覧になってください。
※ご本人の希望により、顔写真等の掲載は割愛しました。

・愛知大学で染色の研究に携わる。
・三十年前、新城市と市民が共同出資した株式会社山湊(さんそう)の発足にあたり、作家としてまちづくりに協力。
・天然の藍と伝統技法による本藍絞りの創作活動を続けている。
・「国展」入賞受賞、「金沢工芸コンペティション」入選ほか個展・受賞歴多数。
・ワークショップ等、国内外での活動を展開。
・『婦人画報』への作品掲載など主著・掲載多数。

本藍絞染め作家の原田弘子さんは丁寧に優雅に、そして諭すような口調で語ってくれました。

 
江戸時代の初期になりますが、別所街道と秋葉街道が交わる箇所に位置する新城は、「山湊馬浪」と言われるような交通の要所でした。
奥三河や作手方面から来た馬の荷を船に乗せ替え、豊川を下ったわけです。
当時、『藍という染料の元になる植物』もそれらの品の一つでしたが、「三河の国」はここで移出する品に税をかけたんですね。
つまり新城には藍という貿易産業がありました。
今では少なくなった『藍』という植物は、一年草で春に種を蒔き、夏に刈り取ります。
藍の葉に水をかけ、蔵で堆肥のように発酵させます。
すると藍の中から藍色を取り出し易くなります。
これを『すくも』と言います。
『すくも』から染液を作るのは、とても大変な作業で温度管理や発酵を促すために毎日かき回したり、バクテリアの栄養としてコーンスターチを与えたりします。
藍には元々バクテリアが付着していて、それが発酵する理由です。
もし、発酵が進み過ぎると灰汁を加えて発酵を抑えます。
灰汁は木を燃やした灰を水に溶かした上澄み液です。
これを『カラ灰』と言い、アルカリ性で藍色を溶かし出す働きをします。
舐めると本当に辛いんですよ。

大学では民俗学あるいは人類文化のような学問を教えられていたのでしょうか?

 
大学では、心理学を学びました。
色が人に与える影響、色彩心理学も研究しておりました。
色というものは国が変われば、その好き嫌いも大きく異なり、例えば赤色は中国ではとても好まれるのですが、嫌いな国もあります。
白や黒、黄色にも好き嫌いがあります。
でも、藍・ブルーという色は世界中のどこでも嫌いな色には入らないんですよ。
空や海のようにブルーは人を包み込む要素があるんでしょうね。
ですから藍染は全世界で昔からあり、それこそピラミッドのミイラが藍色の糸を織り込んだ布を着ています。
いつの時代にも世界中で黒に近いような濃い藍色ほど重宝されました。
徳川家康が身に付けた着物は何十回も藍染を繰り返したものです。
逆に位の低い侍のものは薄いブルーなんですね。
藍は絹・麻・木綿・毛のように天然素材にしか染められません。
現在日本国内では四軒の農家によってのみ『すくも』の製造が続けられています。
化学染料と違って、洗濯することで色があせてきます。
日本工業規格JISはとても基準が厳しいので、色落ちする天然染色
は部外品としてJIS規格から外れ、藍染は消費者の手に渡りにくいものとなってしまったんです。
でも、昔の人が藍染を着ていたことは利に適っているんです。
草むしりをすると手足が痒く感じたりしませんか。
あれはかすり傷ができ、そこから雑菌が繁殖して痒みをおぼえるんです。
ところが藍の肌着を着ると痒くならないんです。
藍染は菌の繁殖を抑える効果があると実証されています。
だから武士は藍染の着物を着て、傷の治りが早かったんです。
現代では、アトピーの子供の服や、赤ちゃんのオムツかぶれの防止に役立つと、藍染に興味を持たれる方が増えています。
薬ではないこういう自然の素材が大切と思います。

新城の藍染が有松絞りのように工芸品として、地場産業になれるといいと思います。

 
株式会社山湊が立ち上がる時に、藍染の教室を開いて欲しいと声
をかけていただきました。
新城は、かつて藍の産業があった土地なので、やらせていただこうと思いました。ただ、藍染教室の講師は私の仕事ではなく、本来は藍染めの絞りの作品を創ることです。
絞りの技法は二〇〇種類くらいあります。
「絞り」は英語でも「shibori」になっている技術です。
作品ですから、偶然性はありません。
全て会得した技術で、はっきりと狙ったデザインです。
私の表現したいものを創ることです。
でも、新城と言えば藍、例えば「藍染のれんの街」とか、「藍染、ジャパンブルーのシャツを着る人々が多い町」なんてイメージを持たれるようになれば素敵だと思います。
もし、行政が藍染作家養成のために協働してもらえたら嬉しいですね。

出典

 
「キラッと奥三河 ―人・物・文化・企業―」
No.16 藍のまちを想う 原田弘子さん
訪問日 平成23年11月2日
訪問者 新城設楽山村振興事務所 山村振興課 宮内一郎

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